2017年 9月 8日
日本ビオトープ管理近畿支部
会長 池口直樹
一級ビオトープ計画・施工管理士
技術士(環境部門・森林部門)
森林インストラクター
私たちの身のまわりには、いったいどのくらいの“生きもの”がいるのでしょうか?
花壇や街路樹の植物、犬や猫といったペットなどが“おなじみ”かもしれませんが、それだけでしょうか?
もう少しよく見ると、いろんな場所にいろんな“生きもの”がいることに気づきます。
道路のすみや空き地にも草が生えていますし、チョウやハチが花の蜜を吸ったり、毛虫が葉っぱを食べたりしています。
石を起こしたり、土を掘ってみると、そこからはいろんな“生きもの”が出てきます。
立ち上がって周りを見渡してみると、野鳥が木や電線にとまって羽を休めたり、空を飛んだりしています。
ため池や川でも草や木が生えていますし、水の中にはきっと魚や昆虫がすんでいるでしょう。
このように、たとえ町の中であっても私たちの身のまわりにはたくさんの“生きもの”がすんでいるのです。
郊外や里山に行けばその数も種類ももっといっぱいいるはずです。
でも、普段の生活の中でそんな“生きもの”たちに気づくことが少なくなってきているのではないでしょうか?
もちろん人工的な環境の中では“生きもの”の数も種類も限られてくることは事実ですが、それでもそれぞれの環境に応じていろんな“生きもの”が暮らしているはずです。
“秋 来(き) ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる”
ここまでの“感性”は持ち合わせないとしても、例えば、いったん水辺を離れたトンボが産卵のために再び池に戻ってくる、赤トンボが姿を見せる、暑さを倍増させたクマゼミの喧騒もいつの間にかツクツクボウシの声に代わっている…
このように私たちの身のまわりの“生きもの”は、私たちが忘れかけている季節の“微妙な”移り変わりをそっと教えてくれることでしょう。
私たち「ビオトープ管理士会」のメンバーは、このような“ささやかな”自然をも大切にし、そこに多くの人々が目を向けてくださることを目標にしていきたいと考えています。
そして、身のまわりの“生きもの”のことを知り、そのことを通して“身近な自然”について、多くの方々と一緒に考える機会を持っていきたいと願っています。